「お酒を飲まないとつらい」「イライラする」と感じたときに飲みたい衝動を静かにやり過ごす方法
断酒を決意してからも、ふとした瞬間に「お酒を飲まないとつらい」「イライラする」──そんな感情が不意を突いて湧き上がることがある。
それは意志の問題ではなく、脳がこれまでの習慣を思い出しているだけの反応です。 飲みたい気持ちは波のように現れては、時間とともに静まっていきます。
大切なのは、その“波”に巻き込まれずにやり過ごすこと。 この記事では、飲みたい衝動を理性でコントロールし、静かな夜を取り戻すための考え方と具体的な行動法を紹介します。
🍶 「飲みたい衝動」は脳の一時的な反応
お酒をやめたあとにやってくる「飲みたい衝動」は、意思の弱さではありません。 脳には報酬系と呼ばれる仕組みがあり、「飲むと快感が得られる」と学習してしまうのです。
たとえば、夕方の疲れた時間、ストレスを感じた瞬間、あるいはテレビCMの映像。 過去に「お酒=気持ちが楽になる」と経験した記憶が呼び起こされ、脳が「今も同じ快感を得られる」と勘違いする。 これが“飲みたい”という衝動の正体です。
つまり、あなたが感じているのは欲求ではなく、記憶の反応。 この反応は放っておいても、必ず静まります。
🧠 衝動を抑え込まず、“観察する”
衝動を無理に抑え込もうとすると、かえって意識が集中してしまい、強く感じてしまいます。 そこで有効なのが「観察する」こと。
「あ、今“飲みたい”って感情が来てるな」
そう気づくだけで、脳の興奮が和らぎます。 心理学ではこれを脱フュージョン(defusion)と呼び、感情と自分を切り離して見る方法です。
衝動はあなた自身ではなく、一時的に脳が発している信号。 それを“観察対象”にしておくと、静かに消えていきます。
関連記事▶ 「答えるだけ」で飲酒欲求に勝てた|AI×脱フュージョンで断酒の夜を乗り越える方法
🌊 20分ルール──波は必ず引く
「飲みたい衝動」のピークは、およそ20〜30分と言われています。 どんなに強い波も、時間が経てば必ず落ち着く。
この間をどう過ごすかがポイントです。 “波を越える行動”をあらかじめ決めておきましょう。
- 冷たい炭酸水を飲む
- 顔を洗う・歯を磨く
- 3分だけ外に出る
- 軽くストレッチをする
- AIやメモ帳に「今、飲みたくなっている」と書く
「行動する」ことで、脳の焦点が切り替わり、衝動は静かになります。 実際、動き始めてから3分後には“飲みたい”という感情の勢いが半減するといわれています。
🕔 夕方や夜に衝動が出やすい理由
夕方や夜に飲みたくなるのは、脳が「1日の終わり=報酬タイム」と認識しているから。 つまり、体と心が「何かで癒されたい」と求めているだけです。
この“報酬のスイッチ”を、お酒以外の方法で押せるようにしておくと、ぐっと楽になります。
- 湯船にゆっくり浸かる
- ノンアルドリンクをお気に入りのグラスで楽しむ
- 短い散歩や軽い運動
- 静かな音楽や読書でリラックス
- 「今日も飲まずに終われた」と一行日記を書く
このような行動が、少しずつ脳の“報酬回路”を上書きしていきます。 飲まなくても落ち着ける夜は、訓練で作ることができます。
💡 衝動を“消そうとしない”こと
衝動を「消そう」「忘れよう」とするほど、意識がそこに向かい、逆に強くなります。 重要なのは、「消そう」とせず、ただ“観察する”こと。
衝動は敵ではなく、通り過ぎる雲のようなもの。 そのまま見送れば、自然と空が晴れていく。
「飲みたい」を消すのではなく、「そのままにしておく」ことで、 衝動は勝手に小さくなっていきます。
🕊 静かな夜のあとに残るもの
飲まずに夜を越えたあと、残るのは我慢の疲れではなく、 心の奥に沈むような「落ち着き」と「小さな誇り」です。
最初の数日は波が高くても、やり過ごすたびに少しずつ穏やかになります。 「飲まない夜」は、繰り返すほどに静かで確かな自信を育ててくれます。
衝動が来るのは、変化の途中にいる証拠。
焦らず、今日一晩だけ静かにやり過ごしてみてください。
この記事はyoutube動画でも説明しています。
