ストレス解消のための飲酒は逆効果?──飲めば飲むほど心が疲れる理由と断酒という選択肢

「酒でストレス解消」は本当に機能してる?
「今日は、嫌なことがあったから、酒でも飲んで忘れよう」
──そんな風に居酒屋に足を運んだこと、ありますよね?僕も何度もありました。
でもちょっと思い出してほしいんです。
そのとき飲んだお酒で、ストレスは本当に解消されましたか?
確かに、酔っているあいだは気分が軽くなったような気がします。嫌なことを忘れたような錯覚に陥ります。でもそれ、ただの「麻酔」なんです。
酒はストレスの“根っこ”には効かない
お酒を飲んでいる間は、たしかに楽になる。思考も鈍って、嫌なことを考えずにすむ。
でも──ストレスの元は、消えていません。むしろ家に帰ってから、翌朝目覚めてから、「あれ、何にも変わってないや…」と気づく。
それどころか、財布が軽くなっていたり、口が乾いていたり、昨日の発言を後悔していたり。新しいストレスが、ひとつ、またひとつ、上乗せされている。
そう、飲酒はストレスを「解消するもの」ではなく、「増幅する可能性のあるもの」なんです。
ストレスが増える理由1:睡眠の質が悪化する
アルコールは入眠を早くする作用があります。しかし、浅い眠りになりやすく、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」が増えることが研究で明らかになっています。
つまり、飲んで寝ても「脳も身体も休めていない」んです。
結果的に、翌日イライラしやすくなったり、判断力が低下したり。ストレスに弱くなる体質を、自ら作ってしまうことになります。
ストレスが増える理由2:後悔と自己嫌悪
「また飲みすぎた…」「言わなきゃよかった」「寝落ちして何もできなかった」
こんな風に、飲酒によって自分を責める瞬間ってありませんか?
これは非常に大きな精神的ダメージをもたらします。
自分の期待を裏切った、という感覚は、自尊心を削っていきます。ストレスを和らげるどころか、「自己否定」という強烈なストレスを抱えることになるんです。
ストレスが増える理由3:健康・お金・人間関係の悪化
・飲みすぎで健康診断の数値が悪化
・つい飲み代がかさんで月の生活費がギリギリ
・酔った勢いでの発言で信頼を失う
これらも、すべて「あとからやってくるストレス」です。
飲酒によっていったん気が紛れても、結果的に自分の首を絞めるようなかたちで、あとからジワジワ効いてくる。
それでも飲んでしまう理由──習慣と“錯覚”
それでも僕たちは、「嫌なことがあった→飲む」という思考ループにはまりがちです。
なぜなら、アルコールは脳内の報酬系を刺激し、「一時的な快楽」を与えてくれるからです。これが中毒性の正体です。
つまり、飲むことで解決した“気になってしまう”だけで、実際には何も片づいていない。
僕が断酒して気づいたこと
僕は何度も断酒に失敗しながら、今、ようやく「もう飲まなくていい」という境地に近づいています。
やめてみて気づいたのは、
- 本当に休まるのは、静かな夜と深い睡眠
- 本当に解決できるのは、シラフで向き合ったとき
- 「飲まない自分」は、実はストレスに強くなっていた
ということです。
ストレスと向き合うために、「断酒」という選択肢を
ストレスは、生きていればなくなりません。
でも、そこにお酒を上乗せする必要はない。
むしろ、ストレスを受け止める力を、お酒が奪っている。
だからこそ、「もう飲まない」という選択肢は、ストレスを減らす最大の手段のひとつです。
飲酒ではなく、「睡眠」「散歩」「音楽」「言語化」「他人に話す」など、解消ではなく“循環”できるストレス対処法を見つけてみてください。
まとめ:ストレスには酒じゃない、“回復する習慣”を
ストレスを感じたときこそ、あえて飲まない。
それが、次の日のあなたをラクにします。
お酒に逃げるのではなく、自分と対話する時間を。
断酒は、その入口になります。
「今日はつらかった、だからこそ飲まない」
──そんな夜を、少しずつでも増やしていけますように。