【断酒ブログ】「飲まなきゃやってられない」ことなど、この世に一つもない。

「あー、もう無理!今日は飲まなきゃやってられない!」
仕事で理不尽な目に遭った日。 人間関係で心がすり減った夜。 将来への漠然とした不安に押しつぶされそうなとき。
グラスに注がれた黄金色の液体や、缶のプルタブを開けるあの音に、どれだけ「救い」を求めてきたことでしょう。かつての私も、そうでした。お酒は、辛い現実から一時的に逃してくれる魔法の薬だと信じて疑いませんでした。
しかし、断酒してシラフの時間を積み重ねてきた今、断言できます。
「飲まなきゃやってられない」ことなど、この世に一つもありません。
それは、アルコールが見せていた、あまりにも都合のいい幻想に過ぎなかったのです。
この記事の内容を、会話形式で説明しています👇
「飲まなきゃやってられない」の正体
なぜ私たちは、辛いことがあるとお酒に手を伸ばしてしまうのでしょうか。
それは、アルコールが脳の報酬系を刺激し、一時的に快楽物質であるドーパミンを放出させるからです。同時に、脳の働きを鎮静させるGABAの作用を強め、不安や緊張を麻痺させます。
つまり、お酒を飲むと、嫌なことを「忘れさせてくれる」「どうでもよくさせてくれる」ような錯覚に陥るのです。問題そのものは何一つ解決していないのに、あたかも解決したかのような「気分」にさせてくれる。これが、「飲まなきゃやってられない」の正体です。
私たちは問題解決を求めているのではなく、ただ単に**「嫌な気分」から一刻も早く逃れたいだけ**なのです。その手軽で即効性のある(ように見える)手段が、たまたまお酒だったというわけです。
飲んでも現実は1ミリも変わらない、むしろ悪化する
しかし、その魔法の効果は驚くほど短い。
酔いから醒めた翌朝、私たちを待っているのは何でしょうか?
- 昨日よりも大きく、重くなった問題
- 頭痛や吐き気といった二日酔いによる体調不良
- パフォーマンスが低下した状態での仕事や家事
- 「また飲んでしまった…」という強烈な自己嫌悪
そうです。飲んで忘れたはずの問題は、利子をつけて私たちの前に立ちはだかります。さらに、二日酔いで思考力も体力も奪われた状態では、昨日ならできたはずの対処さえできなくなってしまう。
それだけではありません。飲んだ席での失言や失敗、健康へのダメージ、積み重なる出費…。お酒は、元々あった問題を解決しないどころか、新たな問題を生み出し、状況をさらに悪化させるのです。
「飲まなきゃやってられない」状況が、飲酒によってさらに「飲まなきゃやってられない」泥沼の状況へと変化していく。この負のスパイラルこそ、アルコールが仕掛けた巧妙な罠なのです。
シラフで乗り越える。本当の強さを手に入れる方法
では、辛い現実とどう向き合えばいいのでしょうか。お酒に頼らず、自分の足で立つための方法は必ずあります。
- 問題の正体を突き止める 「やってられない」と感じているその感情の源は何なのか、紙に書き出してみましょう。「上司に叱られた」「恋人と喧嘩した」「お金が足りない」。具体的にすることで、漠然とした不安が、対処可能な「課題」に変わります。
- 健全なストレス解消法を見つける あなたの心を本当に癒してくれるのは、アルコールではありません。
- 体を動かす: 軽い散歩やジョギングでも、気分は驚くほど晴れやかになります。
- 趣味に没頭する: 読書、映画鑑賞、音楽、料理など、時間を忘れて楽しめることを見つけましょう。
- 人と話す: 信頼できる友人や家族に、ただ話を聞いてもらうだけでも心は軽くなります。
- 温かいお風呂に浸かる: 体を温め、リラックスすることで、心の緊張もほぐれていきます。
- 「時間」に解決を委ねる 今すぐ白黒つけなくてもいい問題は、意外と多いものです。焦ってお酒に逃げるのではなく、「一晩寝て考えよう」「少し時間を置こう」と、問題を一旦保留する勇気を持ちましょう。シラフで過ごす時間は、あなたの冷静さと問題解決能力を確実に高めてくれます。
幻想との決別
「飲まなきゃやってられない」という言葉は、「私はこの問題を解決する能力がない」と自分自身に言い聞かせているのと同じです。アルコールは、あなたから自信と、問題に向き合う力を奪い去ります。
しかし、真実は逆です。 シラフのあなたこそが、人生のどんな困難にも立ち向かえる、最も信頼できるパートナーなのです。
断酒は、何かを我慢する行為ではありません。アルコールという幻想から自分を解き放ち、現実と向き合い、乗り越えていく「本当の強さ」を取り戻すための積極的な選択です。
次に「飲まなきゃやってられない」という感情が湧き上がってきたら、思い出してください。
それは、幻想です。 飲まなくても、あなたは大丈夫。 飲まないあなたの方が、もっとずっと、強い。
その一杯をやめた先には、穏やかで、クリアで、確かな自信に満ちた新しい一日が待っています。