禁酒3日目が一番つらい理由|気分の落ち込みは“正常な反応”です

禁酒3日目、なんだか気分が落ち込む。やたらとイライラするし、夜も寝つきが悪い
──もしあなたが今そんな状態なら、それは「禁酒がうまくいっていない」サインではなく、「脳がアルコールなしの状態に適応しようとしている証拠」かもしれません。
この記事では、禁酒初期の“気分の落ち込み”の原因と対処法、そして筆者自身が経験したリアルな体調変化を共有します。
読むより“聞く派”のあなたへ。
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なぜ禁酒3日目に気分が落ち込むのか?
アルコール離脱症状とは?
長年お酒を飲んでいると、脳は「アルコールがあること」を前提にバランスを保つようになります。アルコールは脳内のGABAという抑制系の神経伝達物質を活性化させ、リラックス効果をもたらしますが、体はそれに適応して“興奮系”の物質(グルタミン酸など)を増やし、バランスを保とうとします。
ところが、急にアルコールを断つと、今度はこの興奮系の働きが暴走し、不安やイライラ、抑うつといった精神的な症状、発汗・手の震え・不眠といった身体症状が出てくるのです。これが「アルコール離脱症状」と呼ばれるものです。
“気分の落ち込み”は自然な反応
離脱症状は通常、禁酒後6~24時間以内に始まり、2~3日目にピークを迎えると言われています。特に「3日目の壁」と呼ばれるこの時期は、精神的にも身体的にもつらさが増すタイミングです。
しかしこれは、異常でも失敗でもありません。むしろ、あなたの脳がアルコール依存から回復しようとしている“正しい反応”なのです。
僕の体験談|3日目の朝、頭が回らずただぼーっとしていた
実際に僕が断酒に挑戦したときも、3日目が一番つらかったのをよく覚えています。
初日は「決意モード」でテンション高め。2日目も意外といける。でも、3日目の朝はまるで別人のようにどんよりしていて、起きても頭が回らず、感情が平坦。やる気が出ず、なにもしたくなかったんです。
仕事には行ったけど、頭の中は「なんで俺、酒やめてんだろう…」「もう一杯だけ飲んでもバチ当たらんよな」そんな言い訳ばかり。体調もどことなくだるく、でも風邪ではない。いま思えば、これが離脱症状のピークでした。
夜もやたらと寝つきが悪くて、1時間ごとに目が覚める始末。こういうとき、「やっぱ酒がないとダメなんじゃ…」って思ってしまうんですよ。でも、4日目、5日目と過ぎるにつれて、少しずつ雲が晴れてくる感じがあって──それが回復の始まりでした。
専門家がすすめる5つの対処法
1. 医療機関への相談は恥ずかしいことではない
もし、気分の落ち込みが激しすぎる、震えや幻覚がある、呼吸が乱れる、などの症状がある場合は、迷わず医療機関へ。
特に「アルコール依存症外来」や「心療内科」「メンタルクリニック」など、専門の知識をもった医師に相談することで、必要に応じた薬の処方や心理的サポートが受けられます。
2. しっかり寝る、しっかり食べる
禁酒初期は、睡眠が不安定になったり、食欲が変動したりすることがあります。体の修復機能が追いついていないだけで、これも時間とともに落ち着いていきます。
できるだけいつも通りの時間に布団に入り、温かいスープや軽めの和食など、消化にやさしいものを食べるようにしましょう。
3. 水分補給でデトックスを促進
アルコールは利尿作用が強いため、断酒を始めると体は水分を取り戻そうとします。 禁酒中はとにかく水・麦茶・経口補水液などでしっかり水分補給を。
脱水状態は体調をより悪化させますし、頭痛や倦怠感の原因にもなります。
4. ストレスの元を遠ざける
職場の人間関係、テレビやSNS、過去の後悔──ストレスのもとになるものから一時的に距離を取るのも立派な対処法です。
禁酒初期は「心の体力」が減っている状態。なるべく静かに、安心できる環境で過ごす時間を意識的に作りましょう。
5. 「仲間」とつながる
断酒の一番の孤独は、「この苦しさを誰にも理解してもらえないこと」。 SNSでは「#Twitter断酒部」のように、同じ思いをしている人たちがリアルな日常を投稿しています。自助グループやオンラインコミュニティに参加するのも選択肢の一つです。
僕もX(旧Twitter)で「今日は飲まなかった」とつぶやくだけで、いいねや共感のリプがもらえたとき、本当に救われました。
落ち込んでいるあなたへ伝えたいこと
禁酒3日目の“どんより感”は、体と心が壊れているからではなく、「治ろうとしているからこそ起こる一時的な反応」です。 長年の飲酒習慣によって崩れてしまったバランスを、今あなたの体と脳は、必死に元に戻そうとしています。
このつらさを乗り越えるために必要なのは、「完璧な意志」ではなく、「今日は飲まずに寝よう」という小さな積み重ねです。 そしてその1日が、あなたの未来を少しずつ変えていきます。
僕もまだ断酒の途中ですが、3日目の“地獄”を乗り越えたからこそ、いまこうして記事を書いています。 もし今、あなたがその壁にぶつかっているなら──どうか一緒に、乗り越えていきましょう。